ワクチンや抗生物質の開発・改良や衛生状態の改善などによって私たちの周囲から赤痢、コレラに代表されるような伝染病は消え去りつつあり、人類が病原体を制圧することも不可能ではないと信じられてきました。しかし、薬剤耐性や新たな病原因子の獲得、抗原変異など様々なメカニズムにより病原体の逆襲もおきています。獣医学領域でも、主要な急性細菌・ウイルス感染症はワクチンなどにより予防治療が可能になっていますが、うまくコントロールし得ない感染症も多くあり、世界中で新興・再興感染症の発生も報告されています。地球的規模で考えると家畜の伝染病による経済的被害は膨大な額になり、人類の限られた居住可能空間で最大限の蛋白質生産を行うためには、感染症のコントロールは最重要課題のひとつと考えられます。

 

病原体の侵入・増殖に対して宿主(ヒトや動物)は免疫機構により対抗しますが、病原体は免疫回避・攪乱の方法を多く備えており病態が進行していきます。すなわちこれらの病原体を防除するためには、病原体のサバイバル戦略のみならず、宿主の免疫機構など病原体-宿主の相互作用を解明することが重要になります。このような観点から本講座は各種動物におけるウイルス及び原虫による感染症の病態解明とその制圧を目指して研究を行っています。また、その方法として、これまでにない新しい概念のワクチンの開発を目的とした基礎研究も行っております。 

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