~Zoobiquityの観点から、基礎研究と臨床現場の架け橋となる研究、生体試料バンクの構築を推進します~

 ・トランスレーショナルリサーチとは?

 トランスレーショナルリサーチとは、「橋渡し研究」で、基礎研究の優れた成果を臨床現場に応用する研究です。

 

・獣医学におけるトランスレーショナルリサーチ

 獣医学分野におけるトランスレーショナルリサーチは上記に比べもう少し拡大解釈が出来ます。それが、「獣医学研究における優れた成果・発見を人医学研究へとフィードバックする事で知識を共有し、獣医学・医学双方へと貢献する」と言った獣医学―医学方向へのトランスレーショナルリサーチの考え方です(図1)。
 それには、マウスやラットなどの実験動物に加え、イヌ・ネコをはじめとする様々な動物種を対象に、疾患や生理機能の共通性や差異について、研究を行う点が重要です。この観点からの我々獣医学領域で行う研究は前臨床研究に重きを置いた基礎研究に限りません。腫瘍を始めとした実際のイヌ・ネコなどの動物の症例を対象に様々な角度から研究を行う、すなわち獣医診療における臨床研究から発展させることの重要性も認識されています。
 医学領域の疾患を主体としたトランスレーショナルリサーチがあるならば、獣医学領域を主体としたトランスレーショナルリサーチ(様々な動物種の疾患を念頭においた基礎研究からの獣医臨床への貢献)も当然考えられる一つの方向性であるのは間違いありません。この様に獣医学は様々なトランスレーショナルリサーチのための「ちいさな橋」がいくつもかかった分野と言えるかもしれません(図2)。

 

・トランスレーショナルリサーチ推進室

 北海道大学大学院獣医学研究院附属動物病院・トランスレーショナルリサーチ推進室では、「人と動物の病気の共通性から、医学・獣医学の連携は双方の健康の向上に繋がる」とするZoobiquity (汎動物科学)の観点から、医学系と獣医学系領域の一層の連携を目指します。またアジア最高峰とも言える北海道大学動物医療センターの豊富な症例から血液・尿・組織サンプルの収集、また将来的には地域の動物病院・動物園などからの協力によるサンプル収集を行い、生物試料バンクの構築を進めています。
 これにより、基礎研究における優れた成果を次世代の革新的な診断・治療法の開発に繋げます。また、逆に獣医臨床的視点から得られる知見を見逃さず、それを基礎研究の発端とする“リバーストランスレーショナルリサーチ”の発展も目指します。

 

 

 

 

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