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北大獣医 標本展示室(@vetspecimen)

 

 

北海道大学獣医学研究院標本展示室について(講義棟1F)

 

これまでに獣医学の研究・教育のために蒐集された貴重な学術的価値をもつ標本類が北海道大学獣医学研究院内の標本展示室内に保管展示されているのをご存じですか? この標本展示室内には主に解剖学,病理学,野生動物学,および寄生虫病学分野の研究教育に関連する標本が展示されています。ではそれらの中で特徴的な標本をいくつか挙げてみましょう。

 

先ず解剖学標本として展示室の入り口近くで大きな牛の全身骨格標本があなたを迎えてくれるでしょう。近くの壁には馬の全身を描いた詳細な解剖図が見られます。展示ガラスケースの中には,日本で獣医師養成教育が始められたばかりの頃の明治初期の獣医解剖学や外科学などの教科書が和綴じ本として展示されています。その奥のケースの中には,シリコンの包埋剤に埋め込まれた数多くの臓器プラスティネーションがほぼ生存中の軟らかさや自然な色を保ったままの状態で展示されています。これらに加えて獣医学研究科が所蔵する他の野生動物や馬など数多くの貴重な大型骨格標本類は,北大キャンパスのほぼ中央部で理学部に隣接する北大総合博物館2階の特別展示室において展示されています。是非北大総合博物館を訪れてみて下さい。カバやライオンなどの大きな骨格標本にも出会うことが出来ることでしょう。

 

 

次に病理学標本として北大獣医学研究院展示室が誇るべき幻のノーベル賞級標本をご紹介しましょう。それはかつて1925年から4度もノーベル生理学・医学賞候補に推薦されたかつての輝かしい研究業績の一つ,すなわち当時の山際勝三郎教授(東京帝大)とともにウサギの耳にコールタールを塗布する実験によって人工癌(皮膚癌)が生じることを世界で初めて実験的に証明した,後の北海道帝大獣医病理学教授・市川厚一先生によるウサギの耳の人工発癌実験標本です。その横には当時の実験に用いられたドイツ製の顕微鏡(超高価でした)やドイツ語で発表された人工発癌に関する研究論文などが展示されています。

 

さらにその隣のガラスケースの中には野生動物関連の標本,すなわち野生シカの角や珍しいトドやカマイルカの腎臓,大きなインドゾウの腎臓もあります。また入り口近くの一角にはクマの全身骨格標本の展示が見られます。これらは環境の保全と人と野生動物の共生などについて研究を進める上で貴重な展示標本となっています。

 

目を展示室の奥に向けると,そこは寄生虫ワールドです。様々な形の寄生虫標本がところ狭しと展示されています。線虫や条虫類,肝蛭やダニなどの外部寄生虫などもみられ,獣医学の中で寄生虫学は大切な研究分野の一つであることが分かります。

 

 

今も獣医学研究教育の中では,実物を直接目で見て理解する実践教育がとても大切です。展示標本には上述の骨格標本やガラス瓶に入った液浸標本,自然な手触り感をもつプラスティネーション標本などのほかに,血管や関節腔などを示す鋳型標本や詳細な解剖図なども含まれます。近い将来にはこれらの標本をデジタル画像としてweb上で観察することも可能になることでしょう。あなたも北海道大学獣医学研究院の標本展示室を訪れてみませんか?きっと数多くの動物の展示標本に魅了されることでしょう。

 

獣医学標本施設運営委員会

 

 

標本展示室開場時間 平日8:00 ~ 18:00 (入場自由)