実験動物学とは実験に使用される動物に関する総合科学で、対象となる動物種はマウス・ラット等のげっ歯類の他、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、サルなど殆ど全てのほ乳類であり、これら動物の解剖学、生理学、遺伝学、育種学、繁殖学、疾病学などを扱います。即ちミニ獣医学と言っても過言ではありません。実験動物学教室ではこのように守備範囲の広い実験動物学の中から実験に用いられるマウスやラットのゲノム解析や感染症の研究と、研究科で飼育されている全ての実験動物の福祉を向上させる活動を行っています。動物の命を守る筈の獣医学部でなぜ実験に使用されるマウスやラットのことを研究するかといいますと、マウスやラットも人間が目的を持って飼育している動物、即ち家畜の一つだからです。実験用のマウスやラットはヒトや動物と同じ病気を自然発症することがあります。私達はこれら疾患モデル動物の原因を研究して、その成果を医学や獣医学へ還元しています。写真は北海道大学で発見されたLECという肝炎・肝癌を自然発症するラットです。下の写真はこのラットの肝炎と肝癌の組織像です。その他のゲノム研究としては、各近交系に備わっている量的形質(例えば感染抵抗性または感受性)の原因遺伝子の同定、これらの原因遺伝子を証明するための発生工学(トランスジェニック、ノックアウト動物の作製)などです。また実験動物の福祉向上に関する活動としては、実験動物学教室に所属する教員・大学院生は実験動物医学専門医または研修医として、実験動物の疾病の予防・治療、動物実験時の苦痛の排除、飼育環境の向上などに貢献しています。研究成果は2ヶ月に1回開催される研究発表会で報告し各自の研究の向上を目指しています。また、Nature、Science、Cellなどから論文を紹介する論文セミナーや「細胞の分子生物学Molecular Biology of The Cell」の輪読会などを行い、各自が最新の知識の修得にも努めています。和気あいあいとした中で一流の研究を行い「サイエンスを楽しむ」が当教室のモットーです。

 ゲノム科学、分子生物学、細胞生物学などに興味のある諸君、当教室で一緒に研究しませんか。

 

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