製薬会社研究職 2019年 学部卒
森田 敦也(比較病理学教室出身)(2023年10月掲載)

 

 私が北海道大学の獣医学部を志したのは、幼少から動物が好きで生命科学の研究に興味があり、家族旅行で訪れた北海道の大地に惹かれたからでした。念願が叶い獣医学部に進学してからは、授業の中でも特に顕微鏡を使って生体を構成する組織や細胞を観察することが楽しく、その精巧な形態や機能に感動しました。そして、それらのミクロな異常が病気につながっていることに興味を持ち、比較病理学教室で病態形成のメカニズムを学びました。そこでがんの複雑な病態に興味を持ったこと、そしてヒト医学にも貢献できる研究をしたいと思ったことをきっかけに、卒業後は他大学の大学院に進学し、がんの基礎研究にも取り組みました。その過程で健康に貢献したい気持ちがより大きくなったことで、現在は製薬会社の研究員として働いています。
 これまでとにかく「いま興味があること」を大切に飛び込んできました。将来のことを決める時、色々なリスクを考えてしまいがちですが、自分の興味を常に大切にすることが充実した日々に繋がるのではないでしょうか。そして獣医の世界は想像以上に多様で、北大獣医でなら本人次第で様々な進路に進むための能力や度量を身につけることができると思います。

 

 

大学教員(大阪公立大学) 2011年 学部卒
和田 悠佑(放射線学教室出身)(2022年11月掲載)

 

 私が最初に獣医を志したのは、高校生の時に競馬に関わる仕事がしたいなと漠然と思ったことがきっかけでした。当時は獣医さんといえば動物を治療する仕事しかないと思っておりました。実際に大学に入学し、卒業後の進路としてかなり多くの選択肢があることを知り驚いたことを今でも覚えております。(研究って言葉が出てくるとは思っていませんでした・・・)
 学生時代は所属した研究室で放射線生物学を学び、放射線治療に対する興味が湧きました。卒業後暫くは一般の動物病院で働いていましたが、現在は大阪公立大学で犬・猫の放射線治療に従事する一方で、京都大学複合原子力科学研究所でホウ素中性子捕捉療法(BNCT)という特殊な放射線治療に関する基礎研究を行なっています。BNCTの詳細な内容は割愛しますが、この治療を将来、犬・猫に応用することを目指して日々研究に取り組んでいます。
 入学前の自分が今の自分を見るとびっくりすると思いますが、大変楽しく働いています。ほとんどの受験生の方は将来これがやりたい!と思って受験されると思いますが、獣医師には本当に色々な選択肢があります。受験生の皆さんも北大獣医学部で様々な経験をして自分に合った道を探してみて下さい。

 

 

動物病院(トムどうぶつ病院) 2009年 学部卒
山口 朋生、山口 由香梨(ともに獣医内科学教室出身)(2021年11月掲載)

 

 私が獣医になりたいと思うようになったきっかけは、馬が好きで、馬に関わる仕事がしたかったからでした。そして小学生の時に訪れた北海道の大自然にあこがれて北大獣医学部を志望しました。学生時代の前半は授業や実習そしてサークル活動などで忙しいながらも充実した毎日でした。その中で小動物臨床の面白さにふれ、方向転換し獣医内科学教室に所属しました。所属してからは診療の補助を通してさらにこの分野の奥深さを知りました。
 卒業後は何件かの動物病院や北大動物医療センターの研修医をへて、同級生で同じ内科学教室出身の妻と共に札幌でトムどうぶつ病院を開業し、犬猫の診療を行っています。大変なことも多いですが、言葉を話せない犬猫とその飼い主様が、病気が治って元気で笑顔でいてくれる時に喜びを感じます。
 受験生の皆様が北大獣医学部を志望する理由は様々だと思いますが、私のように学生生活を通してやりたいことが別に見つかることもあります。北大獣医学部でしか得られない経験がたくさんあります。いろいろと迷いながら自分の進む道を選んでいってください。

 

 

製薬会社研究職 2014年 学部卒
山下 由真(解剖学教室出身)(2020年10月掲載)

 

 北海道の大自然で生まれ育ち、幼い頃から動物が身近な存在だったので、将来動物に関わる仕事がしたいと思い獣医学部を目指しました。獣医学部で学び始めてからは、解剖学に特に興味を持ったため、研究室には解剖学教室を選びました。獣医学部での6年間は、1学年40人の明るく楽しい仲間たちと濃い時間を過ごすことができ、また様々な知識に触れ、北海道ならではの自然環境で実習もでき、とても充実していました。ここで得た経験や人間関係は一生ものの財産です。
 現在は、製薬会社で新薬の研究に携わっています。患者さんに安全な薬を届けるためには、ヒトに投与する前にまず動物を用いて有効性・安全性を確認する必要があります。動物を用いた研究や病理組織学的検査の場面で、獣医学部で学んだ知識や解剖学教室で身に着けた技術が活かされています。
 獣医学部を卒業した後の進路は「動物のお医者さん」だけではありません。入学前には漠然とした想いしかありませんでしたが、実際に獣医学部で様々なことを学び、自分の進みたい道を探すことができました。受験生の皆さん、合格した暁にはぜひ北大獣医で充実した大学生活を送ってください!

 

 

海外研究留学 平成24年 学部卒、平成27年 大学院博士課程修了
田村 友和(微生物学教室出身)(2019年10月掲載)

 

現在、私はアメリカ東海岸のプリンストン大学で、基礎研究に携わっています。北大獣医を受験した時に、海外で研究者として働く将来を想像していたでしょうか?
私は、ウシの治療・研究をする獣医さんを目指して、北大獣医に入学しました。所属した微生物学教室で、先生方にウイルス学研究の面白さを教わり、すっかり魅了されてそのまま研究を続け、博士号を取得しました。
そして、受験した時に思い描いた「獣医さん」とは違う人生を歩んでいます。海外で研究するきっかけは、学生時代に海外に行くチャンスをもらい、世界をフィールドに働きたいと思ったからかもしれません。
北大獣医で学んでわかったことですが、「獣医さん」は多くの分野で社会に貢献しています。そう私も1人の「獣医さん」です!北大で培ったフロンティア精神を胸に、日々奮闘しています。
皆さんはどんな「獣医さん」になりたいと思っていますか?

最後に、学生時代に習った関係ないような知識や人間関係が今に結びついていることをしみじみ感じます。ぜひ何事も一生懸命にやって下さい。そして立派な「獣医さん」になって下さい。今は漠然としていても、北大獣医は答えを一緒に探してくれる良い学び舎だと思います。

 

 

大学教員(宮崎大学) 平成20年 学部卒、平成24年 大学院博士課程修了
目堅 博久(感染症学教室出身)(2018年10月掲載)

 

人生送りバント
<なぜ獣医学部を目指したのか?学生生活はどうか?>
生命科学について学びたい、資格がある方が仕事の選択肢が多そう、それと北海道への漠然とした憧れで北海道大学の獣医学部を目指しました。学生生活はとにかく楽しかったです。獣医学部は1学年40人しかいないうえに6年間一緒なので10人ぐらい特別に仲がいい友人ができました。今も毎年、旅行に行っています。一生の友人ができたのが、大学生活一番の宝です。
<将来どのような獣医になりたいか?>
大学で助教(研究者)をやっています。仕事の内容は、一言で表現するのが難しいのですが、研究、講義と実習、ラボ運営、その他…なんでもやっています。休みの日も大学に来て仕事をすることが多いですが、面白い仕事だと思います。
ので、様々な経験をしたい方にお勧めです。

 

 

札幌市役所(円山動物園) 平成22年 学部卒
大澤 夏生 (獣医衛生学教室(旧プリオン病学講座)出身)(2017年10月掲載)

 

将来のために今頑張ろう!

<なぜ獣医学部を目指したのか?学生生活はどうか?>

子供のころ読んでいた漫画「動物のお医者さん」の世界に憧れてこの学部を目指しました。学生時代はあまり成績が良くなかった私ですが、いざ社会人になると、昔授業でやったことが思い出せず勉強していなかったことを後悔することがあります。なので、授業はまじめに受けましょう。

<将来どのような獣医になりたいか?>

卒業後札幌市役所に入り、動物管理センター、保健所を経て現在円山動物園で獣医師として働いています。動物園での診療は、危険と隣り合わせな上、爬虫類、鳥類含め様々な動物の知識が必要とされ大変ですが、その分治療がうまくいったときはやりがいを感じることができる仕事です。札幌市では動物園の他にも異動でいろんな仕事ができるので、様々な経験をしたい方にお勧めです。

 

 

製薬会社(アステラス製薬) 平成19年 学部卒
丸井 崇則 (薬理学教室出身)(2016年10月掲載)

 

科学の進歩を実用化する

<なぜ獣医学部を目指したのか?学生生活はどうか?>
 小さな頃から犬や猫を飼っていて、動物にいつも触れる生活をしていたので、将来動物に関わる仕事がしたいと思い、獣医学部を目指しました。学生時代は、自然を満喫したり、温泉によく行きました。北大で養われたフロンティア精神は、揺るぎない信条として根付いています。
<将来どのような獣医になりたいか?>
 新薬の研究を行っています。新薬ビジネスを取り巻く環境は変化をしていて、常に科学は進歩しています。私の仕事は、科学の進歩を患者さんの価値に変えるため、知恵を絞って実験・検証を進めることです。患者さんの元に薬が届くまでには、動物での有効性・安全性が確認される必要があり、獣医学の知識・技術が有効に活用されます。

 

 

国家公務員 平成16年 学部卒
小佐々 隆志 (感染症学教室出身)(2015年10月掲載)

 

受験生の方へ

 私は大学時代には感染症学教室で牛のウイルスの研究をしていました。卒業後は、国家公務員として動物用医薬品の品質検査や研究、動物用医薬品規制の仕組み作りなどを担当しています。今も北大獣医の先生方や同期・先輩・後輩たちとお仕事をさせていただく機会があり、大学時代に得た人間関係は今でも貴重な財産になっています。
 「大学の時にやっておけば良かったなと思うことはありますか?」と聞かれて必ず答えることがあります。それは「海外との交流」です。初めて海外旅行をしたとき、初めて仕事で海外に行ったとき、視野がぱっと広くなったのを覚えています。ぜひいろいろな方と交流して、視野を広げていただきたいと思います。幸いなことに北大は海外との交流を重視しています。その貴重な機会を積極的に利用して、将来に活かしていただきたいと思います。
 大学は、単に知識を吸収するだけではなく、人間関係を構築し、自分を磨く大切な場です。北大獣医で学んだ後輩たちが国際舞台に旅立っていくのを楽しみにしています。そして、負けないように自分も頑張ろうと思います。

 

 

平成22年度 学部卒
濱田 恭平 (毒性学教室出身)

 

 私は大学時代、毒性学教室に所属し、アフリカにおける野生動物の金属汚染について研究していました。サンプル採取、現地調査のために実際にアフリカへ行かせていただいたり、様々な学会で発表させていただいたり、と多くの貴重な経験を積むことができました。
 そして卒業後、私は農協系の組織に就職し、産業動物の獣医として働いています。日々、畜産農家を回りながら、農場の衛生問題と向き合っています。どの症例をとってみても、1つとして同じものはなく、毎日が勉強の連続です。ある症例では、産業動物の金属中毒が問題になり、研究の知識が直接役立ったこともありました。また直接ではなくても、仕事1つ1つの場面で、研究室での経験が生かされていると実感することは多いです。これからも研究室でやっていたように日々学びながら、畜産農家のために精一杯仕事をしていきたいです。