リーディングプログラムの方針・優位性

OneWorld - OneHealthの実現を目指して

感染症に国境はありません。インフルエンザ、エボラ出血熱、SARS、結核、プリオン病などの人獣共通感染症は、常に人類社会の脅威となっています。2009年のブタ由来H1N1インフルエンザウイルスの出現とパンデミックや、2011年の病原性大腸菌O-104による腸管出血性感染症に代表されるように、新興・再興感染症の発生を予測することは困難です。また、2010年に発生した口蹄疫に代表される越境性動物感染症は、社会に甚大な経済的損害を与え、動物性タンパク質の供給を脅かすことが改めて認識されました。

一方、感染症病原体や微生物毒素のようなバイオハザードに加えて、人類の生産活動の結果、環境中に放出される水銀、カドミウム、鉛などの有害金属やDDTやPCB、ダイオキシン等の汚染物質、また近年その地球規模の汚染が明らかとなった界面活性剤や難燃剤に含まれる新興汚染物質に代表される化学物質(ケミカルハザード)も、ヒトや動物の健康と生態系を脅かします。安全な環境を次世代に引き継ぐことは、現代社会の利便性を享受する我々に課された責務です。感染症および化学物質による健康被害の多くは、ヒトと動物のインターフェースで発生した後、徐々に拡大して顕性化します。ハザードから安全な環境を守り、「One World - One Health(1つの世界、1つの健康)」を実現するためには、ヒトと動物のインターフェースにおける微細な変化や異常を察知して「予防対策」を講じなければなりません。このような背景から、ヒトと動物の健康および生態系保全のために、ヒトと動物の健康維持を担う獣医師および獣医科学の寄与が世界的に求められています。

博士課程教育リーディングプログラムでは、本学大学院獣医学研究科に人獣共通感染症対策専門家養成コースとケミカルハザード対策専門家養成コースを設置して、それぞれの分野の卓越した専門性に加えて、問題の全体像を俯瞰できる総合力をもって当該分野の教育研究の推進および対策にリーダーシップを発揮できる人材を育成するための大学院教育を行います。また、専門家養成コースの設置に加えて、国際レベルで産・学・官の連携による教育体制を強化しつつ大学院教育を進め、グローバルリーダーとなる人材を育成します。

専門家養成コースの新設

人獣共通感染症の教育研究分野における世界的に卓越した教育研究リソース、および環境毒性分野におけるグローバルな実践的教育研究の遂行の過程で培われた、国際的なネットワークと教育研究リソースを大学院教育に最大限活用した、専門家養成コースを開設します。

より高みを目指せる大学院教育へ改革

また、優秀な大学院学生を獲得して、国際舞台でグローバルリーダーとして活躍する人材を育成するため、下記の項目について大学院教育の改革を図ります。

  1. 大学院入学者選抜方法の多様化と奨励金制度の導入
  2. リーディング獣医科学基礎科目群の開設
  3. 英語能力を高める語学教育「アカデミックイングリッシュ」の導入
  4. 専門知識の実践力を高める「海外実践疫学演習/海外共同研究演習」の導入
  5. 専門知識の実践応用とキャリアパス支援のための「海外/国内インターンシップ」の導入
  6. 学生の主体性、自主性を醸成するための各種プログラムの導入
  7. 博士論文作成のためのよりきめの細かい指導体制、質保証、および学位審査の透明性確保
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