プログラムコーディネーターより 研究者をめざすあなたへメッセージ

世界規模で求められている健康被害への予防・対策

堀内教授

▲堀内教授の詳しいプロフィールは担当者紹介を参照ください。

21世紀に入ってからも、インフルエンザ、プリオン病、SARS、エボラ出血熱、結核、多剤耐性菌による感染症などの新興・再興人獣共通感染症は絶えず発生し、人類社会の脅威となっています。また、私たちは、口蹄疫に代表されるような越境性動物感染症は、ひとたび発生すると社会に甚大な経済被害を与えることを再認識しました。

一方、感染症病原体や微生物毒素(バイオハザード)に加えて、人類の生産活動の結果環境中に放出される水銀、カドミウム、鉛などの有害金属やDDT、PCB、ダイオキシン等の汚染物質、近年地球規模での汚染が指摘されている新興汚染物質などの化学物質(ケミカルハザード)も、ヒトと動物の健康と生態系を脅かしています。

感染症の発生や化学物質の拡散に国境はなく、これらによる問題はヒトと動物のインターフェースで発生した後、徐々に拡大して顕性化することが多いことを既に学んでいます。従って、これらのハザードからヒトと動物の健康や生態系を守るためには、健康被害が顕性化する前に、微細な変化や異常を察知して予防対策を講じる必要があります。

人獣共通感染症および化学物質による健康被害からヒトや動物の健康を守り、不安や経済的な損失から社会を守るためには、これらのハザードとそのコントロールに関する卓越した専門知識に加えて、国際的な視野で発生した問題の全体像を俯瞰できる能力をもって、その対策に取り組むことのできる人材が必要です。

専門家に求められる総合力養成のためにトレーニング・経験をより重視

「One World, One Health」とは、地球上の健全な生態系の維持は、ヒトと動物両者の健康が相まってはじめて達成されるという概念です。そのため、ヒトと動物の健康維持および生態系の保全を担う獣医科学の貢献が世界的に求められています。この要請に応えるため、博士課程教育リーディングプログラム「One Healthに貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」では、グローバルな舞台で、人獣共通感染症対策、ケミカルハザード対策など獣医科学の貢献が求められているOne Healthの実現のためにリーダーシップを発揮できる人材の育成を目指します。

本プログラムによる大学院教育では、下記に掲げる教育プログラムや取り組みにより、大学院学生の国際感覚の涵養、プロフェッショナルとしての自覚、自主性・主体性の醸成に努め、全体像を俯瞰できる能力を養い、実践能力のある専門家としての「博士」の育成を目指します。

博士論文作成のための試験研究は専門性の基盤形成の核であり、博士課程でこれに精進することは勿論ですが、加えて本プログラムでは、バランスのとれた国際感覚の醸成をサポートし、様々な経験を積む場を提供します。大学院時代の経験は、専門家並びに国際人としてのアイデンティティー確立の土台となります。また、経験の蓄積は主観的確信に基づく判断力の源です。「博士」としての総合力を身につけられるよう、実践的な場面で専門性を発揮するためのトレーニングの機会、より広い視野で物事を捉えて議論できる環境を用意し、また知的好奇心旺盛な大学院学生が切磋琢磨しつつ最高レベルの教育研究を享受できる修学環境を整えてみなさんをお待ちしています。

我々の教育研究活動は、グローバルなフィールドから実験室まで広範囲です。「One Healthのために国際舞台で活躍する獣医科学グローバルリーダー」を目指して、私たちと一緒に汗を流しませんか?

「One Healthに貢献する獣医科学グローバルリーダー育成プログラム」における主な取り組み

  • 大学院入学試験に外国人および自学部外(日本人)特別枠を設け、国際色豊かで、多様なバックグラウンドを有する大学院学生が集う環境の実現
  • 幅広い学術基盤と視野を養うための基礎科目Schoolingの強化
  • 英語能力を高めるための語学教育の導入
  • 人獣共通感染症対策およびケミカルハザード対策の専門家の養成を目指す専門家養成コースの開設
  • 海外のフィールドで専門知識と技術の実践応用力を磨くための海外実践疫学演習/共同研究演習の実施
  • 国際舞台での就労体験による専門性の醸成とキャリアプラン形成を支援する海外インターンシップの実施
  • 国際学会等での成果発表を支援するための海外派遣支援制度
  • 大学院学生による自主研究討論会、および大学院学生が独自に企画・運営する講演会の実施を通じた自主性およびコミュニケーション能力の醸成、並びに研究室と学年の壁を越えて学生同士が切磋琢磨できる修学環境の整備
  • 大学院学生の独自のユニークな発想の実現を支援するための科学研究費補助制度および共同機器室等の研究環境の整備
  • 奨励金制度やTA制度などを活用した学生への経済支援
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