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Research
当研究室では次の3つの課題を主な研究テーマとしています。
1. 放射線を中心とする「酸化ストレスのがん細胞応答」に関する研究
2. 「がんの生物学」特に「がんの微小環境」に関する研究
3. 「実験的がん治療法の開発」や「治療標的分子の解析」に関する研究


1. 放射線を中心とする「酸化ストレスのがん細胞応答」に関する研究
放射線を細胞に照射すると細胞死が引き起こされます。これががん放射線治療の原理です。がん細胞を放射線に対してより感受性にすることができれば、放射線治療による治療効果を高めることが可能になります。しかしながら、がん細胞の放射線感受性はがんの種類や悪性度によって異なるのみならず、細胞の周囲環境や細胞内の状態によって変化します。私たちは、細胞の放射線感受性に影響を与える因子の探索とそのメカニズムの解明を目的とし、細胞周期チェックポイント、細胞分裂機構、エネルギー代謝、ミトコンドリア機能、酸化ストレス応答などに特に着目して研究を行っています。また、近年盛んとなってきている陽子線を用いたがん治療における治療効率を高めるための基礎研究も医学研究科と共同研究で進めております。



2. 「がんの生物学」特に「がんの微小環境」に関する研究
がん組織は、がん細胞のみからなる組織ではなく、がん細胞以外の細胞も存在しています。この腫瘍組織における非がん細胞の部分は腫瘍間質と呼ばれ、血管内皮細胞、炎症細胞、線維芽細胞などから構成されます。これらの腫瘍間質ががんの病態に深く関わっていることが明ら力、になってきていますが、腫瘍間質が放射線照射に対しどのように応答するのかについてはほとんど研究されていません。また、腫瘍組織内には血液供給が十分でなく酸素濃度が低い低酸素細胞層と呼ばれる領域が存在し、放射線や抗がん剤に対し高い抵抗性を持つため、放射線治療後のがんの再発に深く関与していることが知られています。私たちは、こうした癌組織中の微小環境が、放射線照射によりどのような影響を受け、それはどのようなメカニズムにより生じ、がん組織の放射線応答にどのような役割を果たしているのかについて研究しています。



3. 「実験的がん治療法の開発」や「治療標的分子の解析」に関する研究
現在、さまざまな抗がん剤と放射線療法を組み合わせることで治療効果を高める手法である「化学放射線療法(chemoradiotherapy)」 が広く行われています。この手法は、実際の治療への応用が比較的容易である一方で、薬剤標的と化合物の選択によりがん治療の効果を大きく改善する可能性があります。こうした細胞の放射線感受性を増加させる化合物は、放射線増感剤と呼ばれています。また、それとは反対に、放射線の作用から細胞を防護する働きのある化合物である放射線防護剤は、放射線治療の際に正常組織を保護する上で有益です。私たちは、こうした薬物の開発につながる標的分子の探索を行うとともに、大学・研究所・企業との共同研究により、そのような可能性を持つ候補化合物と放射線との併用による抗腫療効果ならびにその効果発現のメカニズムについて研究を行っています。




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応用獣医科学分野放射線学教室
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