当研究室は、腎臓の慢性炎症に対する新たな治療標的を「腎盤(=腎盂)」に⾒出しました。腎盤は腎臓でつくられた尿を受ける盃状の構造で、腎盤上⽪(=尿路上⽪)に内張りされます。当研究室は、腎盤実質に存在する免疫細胞や線維芽細胞等が加齢や腎臓病で増加し、尿路関連リンパ組織(Urinary Tract Associated Lymphoid Structure, UTALS)として発達することを発⾒しました。重要なことに、UTALSの発達は腎実質の慢性炎症・CKD進⾏と相関します。UTALSは、上⽪の直下に形成される点で⼆次リンパ組織、特に粘膜関連リンパ組織に似ますが、腎盤に活発な抗原取り込み機構はありません。⼀⽅、⾮リンパ組織に形成され、慢性炎症に関わるという点で三次リンパ組織の⼀種です。しかしながら、当研究室は、UTALSが「尿の腎盤組織への侵⼊」をその発達要因に持つユニークさを⾒出しています。
図. UTALSの解析手法と形成メカニズムの模式図