筋芽細胞を骨格筋に分化させる最も効率的な方法

骨格筋の発生は、間葉系幹細胞が筋芽細胞へと分化し、筋芽細胞が相互に癒合して多核の筋管へと分化を遂げ、最終的に収縮能力を有する筋線維と成熟します。

筋芽細胞の分化には筋分化特異的位遺伝子群(muscle regulatory factors; MRFs)と呼ばれる遺伝子群が重要な役割を果たし、Myf5、MyoD、MyogeninおよびMRF4が含まれます。

MRFsなどの遺伝子群の作用を背景とし、筋分化において筋芽細胞はアクチン細糸の分解・再構築、細胞膜の融合、細胞内小器官の再編成など非常にダイナミックな形態学的変化を引き起こします。

近年、In Vitro Meat(培養肉)が作製され、実際にハンバーグとして料理される様子がメディアで公表されました。これは、 食糧問題を解決する1つ方策ですが、効率良く培養肉を作るには至適培養条件の検討が重要です。また、筋ジストロフィーなど研究においても骨格筋細胞の培養系が用いられています。

本研究では、代表的な筋芽細胞株C2C12を分化させる最も効率的な方法を検討しました。結論として、培養に用いる動物血清の種類と濃度、添加インスリンの濃度が筋芽細胞の分化効率に影響を与えることを明かにしました。

また、分化C2C12の一部は収縮運動を行い、骨格筋細胞としての機能発現が示唆されましたが、実用化にはまだまだ課題を残しています。今後も、更に骨格筋への分化効率を上げるため、様々な条件を検討していく予定です。

参考文献

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