環境要因が引き起こす腎障害の病理機序

食事を生命の糧とする全ての動物は、常に食事由来化学物質に暴露されています。我々は環境汚染物質ダイオキシン類の受容体として知られる芳香族炭化水素受容体(AhR)が、食事由来化学物質を認識し、腎臓病発症に関与する可能性を見出しました。

我々は「インドキシル硫酸」着目しました。インドキシル硫酸は食事中の肉、特にトリプトファンに由来する化合物であり、腎臓で排泄されます。慢性腎臓病(CKD)患者で血中・尿中インドキシル硫酸濃度の上昇が知られており、腎傷害との関連が示唆されきました。

AhRは転写因子として働きますが、健常マウスの腎臓では糸球体足細胞の核に局在していました。これまでのin vitro及びin vivoの結果から、インドキシル硫酸はAhRと結合後、「AhR下流シグナルの過度の活性化を惹起し、炎症・細胞骨格異常を誘発することで腎臓の病変形成に関与する」と考えています。

インドキシル硫酸の暴露によって引き起こされる足細胞の形態変化

図1. インドキシル硫酸の暴露によって引き起こされる足細胞の形態変化

AhRとインドキシル硫酸が関与する足細胞の機能形態変化

図2. AhRとインドキシル硫酸が関与する足細胞の機能形態変化

摂食を行う全ての動物がインドキシル硫酸暴露リスクを抱えます。特に食肉類は常に肉由来トリプトファンを摂取するでしょう。ネコは高率にCKDを発症し、主たる死亡要因であります。活性炭経口摂取による食事由来化合物の吸着療法は、ヒトおよび動物の腎臓病対処療法で功を奏しており、今後も食事などの環境要因が引き起こす腎障害の病理機序を研究していきます。

参考文献

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