涙を利用した自己免疫性涙腺炎の診断

体液は生体の様々な情報を含みます。我々は、尿に腎臓由来の脱落細胞が出現し、それらをmRNAで検出できることを報告してきました(Kimura et al, Plos One, 2011)。近年では、エクソソームに内包されたmicroRNAも体液中に出現することが知られています。

本研究では体液、特に涙を診断に応用することを考えています。シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome)は、自己免疫性外分泌腺炎を特徴し、涙液や唾液の分泌障害を呈します。診断には、涙液分泌量検査(シルマーティアーテスト)、自己抗体の検出などが行われます。一方、涙腺・唾液腺の病理組織像を把握するには生検が必須となりますか、侵襲性が強く、更なる非侵襲的病理検査法の開発は重要です。

本研究では、自己免疫疾患モデルマウスの涙液に出現する免疫担当細胞由来のmRNAをシルマー試験紙から検出しました。その出現パターンは涙腺への細胞浸潤と関連する可能性を示しました。

涙液中免疫担当細胞由来mRNAの検出

図. 涙液中免疫担当細胞由来mRNAの検出。

健常:C57BL/6。病態:BXSB-Yaa。Nested PCR法。1st:一回目。2nd:二回目。

検査後のシルマー試験紙を捨てずに病理診断へ、未来の非侵襲的病理診断法の開発に向けて研究を進めています。

参考文献

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