雌の生殖腺である卵巣は配偶子である卵を形成するのと同時に、様々なホルモンを産生する内分泌器官として、生体にとって重要な働きをもっています。卵巣嚢腫は人や家畜に共通して見られる疾患で、卵胞や黄体に由来するものが一般的に知られています。
私達は高齢のMRL/MpJマウスが高頻度に卵巣嚢腫を呈することを発見し、その病理発生ならびに原因解析を行ってきました。その結果、MRL/MpJマウスの卵巣嚢腫は、胎子期の中腎細管の遺残である卵巣網から発生することが明らかになりました。
図. MRL/MpJに出現する卵巣嚢腫
またQTL解析の結果、その原因遺伝子座は4番ならびに14番染色体に存在することがわかりました。
本来、成体では退縮しているはずの卵巣網がなぜ嚢腫に発達するのか、そのメカニズムを形態学的、分子生物学的に解析し、自己免疫疾患との関連性を明らかにしていきます。
本研究の一部は、科学研究費補助金(2007-09年, No.19380162)の助成を受けて行っております。