放射線治療外来のご紹介

 北大動物医療センターでは、2014年に放射線治療設備を更新し、高精度放射線治療システム(Elekta 社 SynergyR)を導入しました。導入以降、1,000件近く(2020年2月現在で980頭)のワンちゃんやネコちゃんの放射線治療を実施してきました。本施設では、獣医放射線腫瘍学専門医(米国資格)の指導のもと、麻酔専門獣医師を含む約 10 名のスタッフが治療を担当しています。また、本施設に導入されている高精度放射線治療は国際的にも数少なく、従来の通常リニアック(放射線治療装置)では対応できなかった様々な悪性腫瘍に対する有効な新治療となる可能性が期待されています。このページでは、動物患者に対する放射線治療について、よく理解した上で治療を選択していただくための情報を提供しています。効果・副作用・費用等についてよく知った上で、大切なワンちゃんやネコちゃんにベストな治療法を選んであげましょう。

(※放射線治療の効果や副作用の強さは、照射する機器および方法により異なります。ここで説明させて頂く内容は、本院の放射線治療法についての説明ですので、他施設での治療においてはここでの説明が当てはまらないケースもありますので、ご了承ください。)

放射線治療を受けられる飼い主様へ

 ガンの治療法には、手術療法、化学療法、放射線療法を3本柱として、様々な治療方法があります。ガンの治療はこれらを単独で行うのではなく、ガンの性質、進行度、患者のガン以外の疾患などによって、組み合わせて実施されます。このように様々な治療方法を組み合わせることを「集学的治療」といい、放射線治療は手術や抗がん剤と併用されることが多くあります。そのため、本院では、放射線治療を受ける前に腫瘍科診療を受けていただき、ガンの性質や進行度を検査して、放射線治療が適応となるかを判断し、放射線治療のプロトコール(治療を何回、どのくらいの期間で実施するのか)を相談して決定します。また、動物の放射線治療には全身麻酔が必要になるため、動物患者の状態やガン以外の疾患をきちんと把握したうえで実施する必要があります。本院では、麻酔を専門としたスタッフと相談したうえで、放射線治療を実施しています。

放射線治療の流れ

① 診察

 腫瘍科診療日(月、水、金)に、初診の診察を受けていただきます。ガンの性質、進行度、ガン以外の疾患などを把握するための検査(身体検査、血液検査、細胞診・組織検査、X線検査、超音波検査など)を受けていただきます。

② 治療計画(CT撮影)

 放射線治療の適応判断、治療計画のためCTを撮影します(通常、初診日に実施可能です)。脳腫瘍などは、必要に応じてMRIの撮影を追加させていただくことがあります。

③ インフォームドコンセント

 腫瘍診療科担当医と治療の適応について相談し、放射線治療の治療内容、治療期間を相談し、決定します。治療プロトコールの具体例はいくつかを示します。

  1. 緩和的放射線治療(PRT):
    すでに全身状態が落ちてしまっている症例に対して用います。治療頻度は週1回ですので、治療そのものの負担は最低限ですが、治療効果はその他の治療方法よりも治療効果は劣ります。
  2. 標準分割照射(FRT):
    腫瘍病変が周囲組織に浸潤している場合に用いられます。基本は週に5回、4週間前後かけて計15~20回の治療を行います。
  3. 定位照射(SRT):
    腫瘍が比較的小さく、浸潤性も最小限であるという条件に合った場合のみ適用可能です*。治療は3日間で計3回行われ、最も短期間で負担も最小限です。

*適応については、高精度放射線治療の紹介のリンクページを参考にしてください。

④ 放射線治療

 放射線治療を開始します(通常CT撮影後1週間以内に実施可能です)。放射線治療のほとんどは通院で可能ですが、毎日の通院が難しい方は入院をして治療させていただく場合があります。

⑤ 治療終了後の経過観察

 放射線治療は効果がでるまで、時間を要し、治療終了後に副作用がでることもあります*。そのため、定期的なCT撮影(放射線治療開始から、6週間、3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月、12ヵ月、以降3ヵ月おき)が必要になります。

*放射線の治療効果、副作用については下記リンクページを参考にしてください。

放射線治療について、より詳しい情報はこちらから

診療日

 
初診担当(腫瘍科) 細谷 木之下
治療外来担当 出口 出口 出口 出口 出口

診療科スタッフ

教員(外来担当):細谷謙次、金 尚昊、木之下怜平

教員(放射線治療担当):出口辰弥

レジデント:松本 創

研修獣医師:佐々木慎弥、岩沢亜咲、田村雄治、森 孝昌、川上侑記

看護師:菊池由佳、斎藤友莉枝、小倉美咲