飼い主の皆様へ

飼い主のみなさまへ

獣医内科学教室では、超音波・CT・MRI・内視鏡・腹腔鏡といった画像診断技術を使って病気を診断し、その治療を行なっています。また、これらの高度画像診断技術を駆使し、動物にかける負担の少ない診断法、病気の仕組みを明らかにする検査法、その仕組みに応じた治療法の開発を目指しています。より多くの患者さんに参加いただくことで、それぞれの患者さんの診断や治療につながるのと同時に、診断法・治療法の開発を進めることができます。これから説明する症状で悩んでいる方や病気に関する臨床研究に関心をお持ちの方は、ご相談ください。

消化器疾患

胃や腸の病気


「下痢をよくする」「ウンチに血が付く」といったウンチの問題は多いです。
ミニチュア・ダックスフントに多く見られる、結直腸ポリープ

ミニチュア・ダックスフントに多く見られるポリープは、大腸の出口近くにポリープができ、ウンチに真っ赤な血のつく病気です。この病気の原因ははっきりしていませんが、炎症のお薬を飲むと、症状はある程度落ち着きます。しかし、中にはポリープの数が増えていくもの、大腸癌へと進行するものもあります。内視鏡検査と病理検査によって病気の段階や程度を適切に評価し、それらに応じた治療が必要です。また、内視鏡検査で取れたポリープ片を使って病気の原因を明らかにすることで、病気自体の予防も目指します。

犬の慢性腸炎と消化器型リンパ腫

「長いこと下痢が続く」「よく吐く」といった症状はさまざまな病気でおこります。慢性腸炎も消化器型リンパ腫もその中の一つで、下痢や吐くことが長く続き、食欲が落ちて体重も減っていきます。慢性腸炎も消化器型リンパ腫も症状は似ていますが、リンパ腫は悪性腫瘍であり、腸炎とは治療法が大きく異なります。したがって、どちらの病気であるか早期に診断し、適切な治療をしなければいけません。また、激しい腸炎とリンパ腫の境目の判断は難しいため、内視鏡などで取れた病変部を解析することで、2つの病気を区別できる新たな手法の開発を目指します。

肝疾患

肝臓の病気


症状はないものの、健康診断で「肝臓の値が高いね」と言われたことはありませんか?なぜ?このあと、病気になるの?そういった疑問に答え、健康寿命を長くする取り組みです。         
  • 肝臓への銅などの蓄積の影響
  • 超音波で肝臓の硬さを測る
  • クッシングと肝臓

肝臓は栄養を蓄えたり老廃物を分解する、重要な臓器です。そんな肝臓に体の外から入ってきた銅が貯まっていくと肝炎、やがて肝硬変になることが知られています。そこで、銅などの金属が肝臓にどれくらい貯まっていて、貯まり具合が肝臓の数値とどのように関係するのか、明らかにしています。血液検査だけでは捉えられない、肝臓の病気の始まりを捉えることを目指します。

肝臓の病気が進行すると、肝臓が徐々に固くなっていきます。これまで病気の進行を知るには、麻酔をして手術や腹腔鏡によって肝臓を切り、病理検査するしかありませんでした。最近、麻酔もいらず、お腹も切らずに肝臓の硬さを評価できる特殊な超音波診断技術が登場しました。この超音波を使えば、肝臓の硬さ=病気の進行を簡単に知ることができ、病気の進行に応じた治療を提供することが可能になります。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎という臓器でステロイドホルモンを作りすぎてしまう病気です。この病気になると肝臓の数値が上がり、ヒトの脂肪肝に似た状態になります。ヒトでは脂肪肝から肝癌へ進行することが知られており、犬でも脂肪肝のような状態が続くと肝臓にとってどのような影響があるかを分析します。クッシング症候群の治療と並行して、肝臓への治療を可能にし、脂肪肝やそれ以上の病気になることを予防します。

神経疾患

発作を起こす病気


お家で、突然、倒れて手足をバタバタさせたら・・・
顔をピクピクさせたり、ヨダレがダラダラたれたり・・・
        

発作を起こすと、年齢や品種によっては頭の中に病気があることが疑われます。MRIは診断に不可欠ですが、MRI以外の検査も含め「脳腫瘍」や「脳炎」は総合的に判断されます。また、MRIや血液検査などで異常が見つからなければ「特発性てんかん」という病名になります。MRIに加えて、病気を正確に把握するための検査を開発中です。これにより、脳腫瘍か脳炎かをはっきりと診断できるようになります。またこれまで「てんかん」と診断されてなかなか発作が治まりにくかった患者さんにも、新たな病気のカテゴリーができ、新たな治療法の開発への糸口になりえます。

血液疾患

貧血を起こす病気


いつもより元気がない、と思ったら、歯ぐきが真っ白・・・
  • ミニチュア・ダックスフントの非再生性貧血

「貧血」の原因には、出血を起こす病気から血を作れない病気まで、いろいろな病気が存在します。ミニチュア・ダックスフントによく見られる貧血の病気に骨髄で赤血球をうまく作りきれない病気、「非再生性貧血」があります。骨髄で赤血球の元は作れるのですが、赤血球へ変わっていく途中に自分の免疫から攻撃を受けて、赤血球の元が壊されてしまいます。自分の免疫を上手にコントロールして赤血球の元を壊さないようにする、新しい治療法を開発中です。

心疾患

心臓の病気

最近、はあはあしているし、前みたいに運動もしなくなってきた。歳のせい?!何かできることをみつけてみませんか?
  • 超音波で心臓の筋肉の動きを見る
       

ワンちゃんの心臓病では雑音が聞こえることが多く、ある程度の時期からお薬を飲んでいるのではないでしょうか?それでも病気が進行すると、肺に水が溜まったり、お腹に水が溜まって苦しくなってきます。雑音の大きさだけで病気の様子を判断することはなかなか難しいです。そこで、心臓の筋肉の伸び縮みを最先端の超音波診断技術を使って評価しようとしています。これにより病気の進行速度を予想することができ、肺やお腹に水が溜まる状態を予見してお薬を先に使えるようになります。

猫ちゃんの心臓病では雑音の聞こえないことも多いです。突然、症状が出て、心臓病だったと判明することもあります。是非、元気なうちに、一度、超音波検査をして安心しておきましょう。

お問い合わせ先(飼い主様向け)

北大動物医療センター

上にあげた症状で困っている方、新たな挑戦に関心のある方は、まず下記へご連絡ください。
  • 北大動物医療センター 受付
  •  tel: 011-706-5239
  •  fax: 011-706-5278
ご連絡の際、病院受付へ「ホームページを見た。〇〇の病気」とお伝えください。