献血ボランティア
緊急時の生命維持において、輸血の果たす役割は大きく、近年、動物医療においても輸血の重要性は増加してきています。人の病院では献血システムが確立されており緊急の輸血に対応できますが、動物ではそのようなシステムが十分に確立されておらず、各病院でドナー動物を飼育し、輸血に供しているのが現状です。その際、とくに大型犬に対して十分な量の輸血用血液を確保することは難しく、北海道大学附属動物医療センターでは、献血ボランティアへのご協力をお願いしております。
ドナーの募集要項
- 1-5歳程度の健康な大型犬(20kg以上)
- 予防接種、フィラリア予防を毎年受けていること
- これまで輸血を受けたことがないこと
- 現在、妊娠していないこと
- 動物病院に来院可能であること
- 手術・入院治療・前回の供血から3ヵ月以上経過していること
- 薬物投与を受けていない
- 無麻酔で頸静脈より採血可能であること(原則として)
ドナー登録までの流れ
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電話による質問
お電話にてお問い合わせいただき、ドナーの適合性についてのいくつかの質問をさせていただきます。また、登録前検査のための来院日をご相談させていただきます。
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登録前検査
身体検査、血液検査、生化学検査、血液型判定を行います。これらの検査で、ドナーとしての適合性があると判断された場合、胸腹部X線、腹部超音波、尿検査、糞便検査、感染症検査*を行います。
*外注検査のため、結果の判定に1~2週間お時間をいただく場合があります。
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ドナー登録
採血の頻度(年最大4回)などをご相談させていただきます。
(登録前検査は、ドナーの適正を評価するための検査です。病気の発見などを目的とした健康診断とは異なる点にご留意ください。)
輸血によって救える命があります
腹腔内腫瘤の破裂
大型の高齢犬は、肝臓や脾臓といった腹腔内の臓器に腫瘤ができてしまうことが多く、それらの腫瘤が破裂してしまうと腹腔内で出血が起こり、重度の貧血状態に陥ります。手術によって出血している腫瘤を取り除くことが必要になりますが、重度の貧血状態の場合、全身麻酔と手術に耐えることができません。このような場合、貧血状態を改善するために大量の血液が必要となりますが、輸血を実施できた場合、手術を安全に実施できる可能性が高くなります。