私たちは国内外でのフィールド調査から、実験室での分子生物学的解析まで、様々な側面から寄生虫の研究を展開しています。
人獣共通感染症の多くは、動物で流行している病原体が偶然に人に感染して引き起こされます。世界的に流行するエキノコックス症もその一つで、日本で流行するものは多包条虫という寄生虫がその病原体です。寄生虫学教室では、人の感染予防につなげるため、国内外の研究者と連携しながら、寄生虫・エキノコックスの動物での維持機構の解明や媒介動物の感染率低減に向けた調査研究を展開しています。
動物には様々な寄生虫が感染します。寄生虫と一言で表現しますが、寄生虫には単細胞からなる原生動物、多細胞からなり動物の体の内部に寄生する扁形動物や線形動物、体の表面に寄生する節足動物など、寄生虫は幅広い動物分類群に属する生物から構成されています。そのため、寄生虫の生活様式も多岐にわたります。
寄生虫学教室では、動物飼育や動物医療の現場関係者と連携を取りながら、動物の寄生虫病対策に向けた調査研究を展開しています。
マダニは様々な微生物(ウイルス・細菌・寄生虫)を保有することが知られています。私たちの研究グループでは、高速シーケンサーを使いマダニが保有する微生物叢の網羅的解析を行っています。
これまでの研究で、以前は知られていなかった新規微生物がマダニ体内に多数存在することが分かってきました。また、マダニが保有する様々な微生物の中でも特に共生細菌に着目し、マダニの生理や病原微生物伝播との関わりを調べています。