整形外科・神経外科のご紹介

 当診療科は体を動かすために必要な運動器(骨、関節、靭帯、腱、筋肉、神経など)に関する疾患を診断・治療する診療科です。骨折、前十字靭帯断裂、肘関節脱臼、肩関節脱臼、股関節脱臼、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全、椎間板ヘルニア、変性性腰仙椎狭窄症などの整形外科疾患に加え、難しい跛行の診断や関節リウマチ・多発性関節炎などの内科的な運動器疾患にも対応しています。

 歩様検査、徒手検査、X線検査、血液検査などを実施し、必要に応じて超音波検査、関節鏡検査、CT検査、MRI検査、脳脊髄液検査などの精密検査を実施します。これらの全ての情報は院内で共有され、複数の獣医師の判断のもと診断し、治療にあたります。

 整形外科手術は特に衛生的な環境が求められますが、当院では一般外科用手術室とは分離し、換気フィルターを完備したクリーンな整形外科専用の手術室を備えています。

 

その痛みの原因は?

動物が痛みを示す方法はさまざまです。キャンと鳴く、攻撃的になる、活動性の低下、食欲の低下など、どこが痛いのか、運動器の痛みなのか神経の障害からくる痛みなのかはっきりしないことも多くみられます。私たちは、一般身体検査、血液検査、整形学的検査、神経学的検査をもとに、X線検査、超音波検査、CT検査、MRI検査、関節鏡検査などの各種画像検査を実施して痛みの原因を診断します。近年注目されている低侵襲で実施が可能な超音波検査やMRI検査(麻酔が必要となります)を積極的に導入しております。特に、本院に導入されている高磁場MRIは整形・神経外科を強力にアシストしてくれます。

急な事故。そんな時にも。

整形・神経ホットラインというシステムを運用しております。交通事故や骨折などの整形外科疾患や、急性の麻痺などの神経疾患など、急を要する疾患を優先的に受け付けるシステムです。紹介元の獣医師から、整形・神経担当の獣医師に直接的に診察依頼することで、通常の予約と比較してより迅速な対応が可能となります。飼い主様からの直接的な予約を受けるシステムではありません。

診療日

 
担当医 奥村 (手術日) 須永 (手術日) 須永

注釈・備考:火・木曜は手術日のため、原則外来はありません。

診療科スタッフ

教員

奥村 正裕

須永 隆文

日本小動物外科専門医研修医(レジデント)

三木 伸悟

外科専科研修獣医師

木村 裕亮

増田 裕次

幸野 瑠美

山口 洸太

前河 悠也

桃井 義士

全科研修獣医師

遠藤 孝晟

青柳 拓

長谷川 萌慧

平田 和樹

日馬 凜王

丸子 冬聖

横倉 克

博士課程

大脇 稜

疾患の紹介

前十字靭帯断裂

犬の跛行(びっこ)の原因として比較的多い病気に前十字靭帯断裂があります。大腿骨と脛骨をつなぐ靭帯が外傷や変性などにより断裂することで膝関節が不安定になります。このような状態が長く続くと、軟骨の変形性膝関節症という病気を続発させますので、できるだけ早く膝関節を安定化させることが必要となります。多くの場合、手術にて治療しますが、その方法として、関節外に糸を設置して膝関節を安定化させる関節外制動法と呼ばれる古典的な方法の他に、比較的新しい治療法である脛骨を骨切りして膝関節を安定化させる脛骨高平部水平化術(TPLO)が挙げられます。当院はいずれの方法にも対応しています。

骨折

わが国では、トイ・プードルやチワワなどの小型犬種が好まれる傾向が強くなっており、その結果としてこれらの犬種での前腕骨(橈骨・尺骨)の骨折が多く認められています。さらに、骨形成が未成熟な成長期に骨折することが多く、その治療は今後の生活に大きく影響します。当院では、さまざまな体格の症例に適応できるよう、超小型から大型の骨折固定システムを備えています。また、固定方法に関してもプレート固定法(コンベンショナルプレート、ロッキングプレート)、創外固定法など複数の方法に対応しており、より難易度の高い骨折症例にも対応できるようにしています。