消化器内科のご紹介

 消化器は、消化管とよばれる食道、胃、小腸、大腸と肝臓、胆嚢、膵臓に至るまで幅広い臓器をさします。消化器は、摂取した食物を栄養素に分解する(消化)、栄養素を血液中に吸収する、消化しにくい残りの部分を体から排泄するという役割を果たしています。消化器疾患ではこれら消化器の機能や構造が破綻してしまうことにより発生し、嘔吐や下痢、食欲不振などの症状を発症します。

 

 消化器科では、消化器疾患を診断し、今後の治療計画の立案や内科治療を行います。また手術が必要な消化器疾患の場合は、当院外科診療科と連携して治療を行います。消化器科では、内科と外科が密にコミュニケーションを取ることでベストの治療法を提供していきます。

超音波検査

 超音波は、臓器や組織の境界で反射する性質があります。超音波検査では、この反射波を受信し、モニターに画像を作り出します。超音波検査では、肝・膵・腎・脾などの腹腔内臓器をはじめとした軟部組織の大きさ・形・血流に関する情報が得られます。超音波検査は、X線検査やCT検査と異なり、放射線の被曝の心配もなく、痛みもありません。動物に安全で負担をかけずに病気の本質を見抜くためには、超音波検査はなくてはならない画像診断法です。

 

 消化器科の診療では、以下の病気の診断に超音波検査が大きな力を発揮します。

  • 膵炎の診断
  • 胆嚢の病気(胆嚢粘液嚢腫、胆嚢炎、胆石)
  • 門脈の血管走行の異常
  • 胃・腸管から肝臓、膵臓など各臓器の腫瘍性の病気

 当院の超音波検査では、高性能な超音波診断装置を用意しており、経験豊富な超音波診断医も在籍しています。また超音波造影剤(ソナゾイド)を使用して、肝臓にある腫瘤が癌かどうか調べることができます。従来の超音波検査では見えにくかった腫瘍を見つけることも可能になりました。

 

 

 消化器の超音波検査を実施する場合にいくつかの注意点があります。

  • 食事によって内部の構造が不鮮明に認められることがあります。検査日には絶食で病院にいらしてください。
  • 超音波は空気に弱く、体と機械の密着度を上げるために体にアルコールやゼリーをつけます。検査後に体が濡れていることがあります。また犬猫は毛深いため、超音波検査の際には腹部の広範囲にわたる毛刈りをお願いしています。

 正確な診断を実現できるように、皆様のご協力をお願いいたします。

内視鏡検査

 内視鏡検査は、先端に小型カメラを内蔵した太さ6~9 mm程の細長い管を口あるいは肛門より挿入し、食道、胃、十二指腸や大腸の内部を観察する検査です。内視鏡検査は、主に慢性腸症や胃腸管型リンパ腫の診断や異物の摘出が適応になります。

 

 内視鏡検査では、観察だけではなく、鉗子という器具を用いて、粘膜から組織生検(組織の一部を採取すること。採取した組織は、病理組織検査とよばれる顕微鏡を用いた検査に供します)を行います。

 

 

 

 また飲み込んでしまった食道や胃内の異物の摘出や狭くなった消化管のバルーン拡張術などの内視鏡を用いた治療も可能です。さらに、大腸や胃に発生したポリープでは、内視鏡的治療としてポリープ切除術が実施できます。医療機器や技術の発達により応用範囲も広がり、診断から治療までさまざまな場面で内視鏡が活躍します。

 

 

腹腔鏡検査

 当院では、主に犬猫の慢性肝疾患や膵疾患の診断を目的に腹腔鏡検査が行われます。主な適応は、犬の慢性肝炎や犬猫の慢性胆管炎・胆管肝炎の診断です。

 

 

 

 腹腔鏡検査は、開腹手術による肝生検と比較して、以下のようなメリットがあります。

  • 体にかかる負担が少なく、回復が早い。
  • 術後の痛みが少ない。
  • 傷口が目立たない。

 

 逆に以下のようなリスクがあります。

  • 出血がコントロールできないことがある。

 

 腹腔鏡検査は全身麻酔下で行い、肝臓の4箇所以上の部位から組織生検を行います。腹腔鏡検査は約30分〜1時間程度で終了します。同時に門脈圧測定を行うこともでき、慢性肝疾患の総合的な評価が可能になります。

 慢性肝疾患は、早期に診断して、早期に治療開始することが良好な治療効果を得るために重要です。また慢性肝疾患の治療は、開始すると生涯にわたって行わなければいけないことが多いです。

 

 

 もし慢性肝疾患が疑われたわんちゃん、ねこちゃんがおられましたら、正確な診断と治療のために、腹腔鏡検査を受けられてはいかがでしょうか?

診療日

 
担当医

横山

永田

森下

田村

滝口

横山

田村

中村

横山

永田

診療科スタッフ

教員

滝口 満喜

中村 健介

森下 啓太郎

横山 望

田村 昌大

永田 矩之

研修獣医師

前田 晴香

伊地知 秀太

小林 拓矢

長谷川 寧々

臨床トラック大学院生

菅原 芽伊

疾患の紹介

疾患名:慢性腸炎および胃腸管型リンパ腫

 犬猫の慢性腸症は、長期にわたる消化器症状(下痢、嘔吐、食欲不振など)を示し、原因がわからない腸炎をさします。ヒトのクローン病や潰瘍性大腸炎とよばれる炎症性腸疾患と似た病気と考えられていましたが、病気の様子は犬猫とヒトで全く異なります。X線検査や超音波検査などの画像検査で大きな異常が認められないことが多く、最終的に内視鏡検査で診断されますが、腸に発生する胃腸管型リンパ腫と呼ばれるがんと区別が難しく、診断に苦慮するケースもあります。

 当院では、たくさんの慢性腸症とリンパ腫を診断した経験があります。内視鏡検査による診断をご希望の方はご相談ください。

 

疾患名:炎症性結直腸ポリープ

 ミニチュア・ダックスフントに好発する炎症性結直腸ポリープは、血液の混ざる下痢のつづく病気です。症状を示した時には、大腸に炎症を伴う大小さまざまなポリープが形成され、なかには炎症性ポリープの組織内に腺腫や腺癌が発生することもあります。治療は、免疫抑制剤(ステロイド、レフルノミドなど)による治療で症状が大きく改善します。当院では内科治療が奏功することが多く、外科治療が適応になることは少ないです。

 消化器科では、内視鏡検査による診断と治療(ポリープ切除術)を実施しており、その後の免疫抑制剤による治療も行なっております。

 

疾患名:肝臓腫瘍

 犬の肝臓腫瘍は、肝細胞癌、胆管癌、カルチノイドが発生し、また他の臓器に発生した腫瘍が肝臓に転移したりします。猫では、犬と比較して発生は少ないですが、リンパ腫や胆管腺腫、胆管癌などが発生します。診断には、X線検査、超音波検査、CT検査をはじめとした画像診断が必須であり、治療計画の立案にも重要です。ほとんどの肝臓腫瘍の治療は外科治療が必要であり、診断後は当院の外科診療科と連携して対応しています。

 消化器内科は、肝臓腫瘍の診断と治療計画の立案までに携わっています。特に外科治療の実施に迷われている高齢のわんちゃんでは、造影超音波検査で良性、悪性腫瘍の判断をすることができます。肝臓腫瘍の今後の方針に迷われた際は、消化器科にご相談ください。