麻酔・集中治療科の紹介

 高度画像診断検査(CT、MRI、内視鏡など)や放射線治療を行う場合には、「動物が恐怖や不安を感じないこと」と「十分な時間じっと動かないこと」が求められます。また、外科手術を完遂するためには、手術そのものの成功だけではなく、「痛みやストレス反応を制御すること」も求められます。特に高度獣医医療では、このような要求を満たしながら検査や治療を成功させるため、全身麻酔もしくは鎮静が必要不可欠となる場面が多いです。

残念ながら100%安全な全身麻酔・鎮静は存在しませんが、来院いただいた動物たちにとって必要な処置が無事に成功するように、私達は可能な限り安全な全身麻酔・鎮静を提供することを目指しています。周術期に生じる痛みに対して、医療麻薬を含むオピオイド、非ステロイド系消炎鎮痛薬、ケタミン、α2作動薬などの鎮痛薬の全身投与に、局所麻酔薬を用いた区域麻酔を組み合わせて用い、積極的な痛み治療を行っています。

強い侵襲を伴った外科手術直後などでは、呼吸循環動態を中心に集中的な管理・治療が必要となります。重症敗血症や肺炎、肺水腫などの理由で、継続的な人工呼吸管理が必要となることもあります。私達は各診療科と連携して、院内重症例の呼吸循環動態安定化に対する治療支援を行い、無事に退院できることを目標としています。 

麻酔管理について

 100%安全な麻酔薬や麻酔方法はありませんが、麻酔中の異常な状態変化に対して早期発見と対応をとることで、全身麻酔や鎮静の安全性を大きく高めることは可能です。このため、私達は獣医麻酔外科学会が提唱する「犬および猫の臨床例に安全な全身麻酔を行うためのモニタリング指針」に基づき、麻酔開始から麻酔回復にかけて、麻酔担当者が継続的に看視、管理を行っています。麻酔中は、体温、心電図、オシロメトリック血圧、パルスオキシメータ、カプノメータおよび五感を用いたモニタリングを実施しています。加えて、手術麻酔を行う場合には血行動態の急変を正確に検出する目的で、観血的動脈血圧測定を積極的に実施しています。2020年9月からは経皮ペースメーカー機能をもつ除細動器を新たに導入し、少しでも安全な麻酔を行えるように日々心がけております。 

 

 

 

 

 

術中・術後痛管理について

 手術を行うと必ず痛みが発生します。動物は痛みが存在することで傷口を守る行動をとりますが、術中術後に生じる過剰な炎症・痛みは体にとって大きな負担になります。また痛みが辛いものであることは周知のことであり、術中・術後痛を制御することは周術期に必要不可欠な医療行為です。

 周術期の疼痛管理法のひとつとして、医療用麻薬を含むオピオイド、非ステロイド系消炎鎮痛薬、ケタミン、α2作動薬などの鎮痛薬を組み合わせて全身投与する方法があります。また近年では、局所麻酔薬を用いた区域麻酔による疼痛管理が、人医学および獣医医学において急速に発展しています。当院でも、神経刺激装置や超音波画像診断装置などの高度医療機器を併用し、硬膜外麻酔、傍脊椎ブロック、頭部・四肢を中心とする末梢神経ブロックなど数多くの区域麻酔を安全かつ適切に実施できるように取り組んでいます。これらの鎮痛法を組み合わせることで、痛みの少ない周術期管理の実現を目指しています。

 

 

 

集中治療管理について

 欧米および日本国内の獣医診療施設における麻酔偶発死亡例調査結果から、重症患者の死亡率が比較的に高いことが明らかとなっています。さらに詳細な解析を行った結果、手術・麻酔終了後の死亡率が高いことも示されています。

 とくに高度侵襲を伴う外科手術直後には、呼吸循環動態が不安定であることが多く、麻酔回復後も継続的な看視や管理が必要です。このような動物に対しては、観血的動脈血圧測定、血液ガス分析装置や超音波画像診断装置などの高度医療機器を併用し、術後の呼吸循環動態異常に対する早期発見に取り組み、強心・昇圧薬の投与、輸血などの治療介入を積極的に行っています。また、重篤な呼吸不全(重症敗血症、肺炎、肺水腫など)に対し、高性能の人工呼吸器を用いた継続的な人工呼吸管理も実施しています。

 

 

 

 

 

診療日

 
担当医

田村

大山

田村

大山

田村

大山

田村

大山

田村

大山

注釈・備考:各診療科と連携して診療を行っていますので、本科を直接受診することはできません。

診療科スタッフ

教員

田村 純

大山 紀彦

研修獣医師

澤 弘樹

勤務獣医師

若木 望美

古賀(古澤) 里千子

臨床トラック大学院生

小島 一輝

佐藤 敬近