新規の治療・臨床試験のご紹介
猫変形性関節症に関するスクリーニング調査について
本院では、研究の一環として、猫変形性関節症に関するスクリーニング調査を実施しており、参加していただける猫を募集しています。
猫では変形性関節症の発症が多く、それらの猫は痛みを感じながら生活していると考えられます。どの程度の猫で変形性関節症がみられ、その症状が獣医学的に検出可能であるかどうか確認すること、また関節に良いとされるサプリメントを使用して症状がどの程度管理されるかを判定することを目的としています。
本調査では当院に来院される猫を含め、同居猫、知人の猫など、全年齢、全ての猫を対象としています。特に高齢の猫では変形性関節症が多くみられるため、積極的な参加をお願いいたします。
今回用いるサプリメントはエランコジャパン(株)製のアンセットとリナイス(株)製のサケ鼻軟骨抽出物です。
当院へ来院された猫に関しては主治医の同意が得られた場合に限りますが、一度ご相談ください。サプリメントは無償で供与され、また検査費用はかかりませんが、サプリメントの使用前および使用後に2度の検査のため本院へ来院が必要であり、サプリメントを1ヶ月毎日服用していただく必要がございます。
詳細は北海道大学動物医療センター整形外科担当 奥村・須永までお問い合わせください。 Tel 011-706-5239 (8:30〜17:00)
→ ポスター
抗PD-L1抗体による腫瘍免疫療法について(臨床研究)
本院では、北海道大学獣医学研究院にて開発したイヌ用抗体医薬「抗PD-L1抗体」によるイヌの腫瘍疾患の試験的治療(臨床研究)を行っており、研究へ参加していただける患者さんを募集しています。
本治療薬は免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる新しい免疫療法薬であり、ヒト医療における抗PD-1抗体(ニボルマブ、ペンブロリズマブ)や抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、デュルバルマブ)と同様の作用機序を持ちます。
本試験では、肺転移を有する口腔内悪性黒色腫をはじめとしたイヌの悪性腫瘍を対象としています。
動物の状態などについて制限がありますが、まずは一度ご相談ください。本院に定期的に通院していただく必要があること、安全性や有効性評価のための定期検査にご同意いただく必要があることにご留意ください。
詳細は、臨床研究担当者(獣医学研究院 今内 覚)までメールにてお問い合わせください。
→ huvcr■vetmed.hokudai.ac.jp (■を@に換えて送信してください)
プレスリリース
●2017年8月25日
イヌのがん治療に有効な免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1 抗体)の開発にはじめて成功
~北海道大学動物医療センターにおける臨床研究成果~
●2021年2月15日
続報・肺転移のあるイヌ悪性黒色腫に抗PD-L1抗体が有効であることをはじめて実証
~イヌ用免疫チェックポイント阻害薬の実現に大きく前進~
●2023年6月2日
イヌ悪性黒色腫に対して放射線治療との併用で抗PD-L1抗体の効果が高まることをはじめて報告
~イヌ用免疫チェックポイント阻害薬のより良い使用法の実現に期待~
●2023年10月5日
イヌの鼻腔内腺癌や骨肉腫に免疫チェックポイント阻害剤が有効であることを初めて報告
~イヌ用抗PD-L1抗体による免疫療法の適用拡大に期待~
●2025年5月20日
イヌのがんに抗CTLA-4抗体治療が有効であることを初めて報告
~イヌのがんへの免疫療法の適用拡大に期待~
北海道大学大学院獣医学研究院 臨床研究推進研究費
獣医学研究院および北海道大学動物医療センターでは獣医学の発展に向けた研究を支援するべく、臨床研究推進研究費による研究支援を行っています。
本研究費は、臨床系教員と臨床系ではない教員が目的に応じて共同研究チームを構築して、動物医療センターを舞台とした臨床研究の活性化を図り、トランスレーショナルリサーチの推進および One Health / Zoobiquity の推進を目指すことを目的としています。
2021年度
青島圭佑、金尚昊、横山望、永田矩之 | 動物腫瘍の研究リソース整備 | 報告書 |
柳川洋二郎、池中良徳 | 糞中ステロイドホルモン動態の詳細解析によるブチハイエナの発情周期解析 | |
今内覚、片桐成二、柳川洋二郎 |
動物の周産期における疾病発生メカニズムの探究 |
報告書 |
堀内基広、笹岡一慶、鈴木章夫 | RT-QuIC反応を用いた犬認知機能不全症候群の診断系の構築 | 報告書 |
岡川朋弘、柳川洋二郎 | 豚の慢性感染症の制御を目指した免疫チェックポイント阻害薬の開発 |
報告書 |
前川直也、出口辰弥 | 細胞診サンプルを用いた犬腫瘍の免疫回避機構の解析 | 報告書 |
池中良徳、中村健介、佐々木東、一瀬貴大 | マススペクトルメトリーによるペプチドホルモン定量法の開発 | 報告書 |
永田矩之、池中良徳 | LC-MS/MSを用いた犬尿中ステロイドホルモン分析法の確立と診断への応用 | 報告書 |
横山望、中尾亮、森下啓太郎 | 犬猫の網羅的腸内真核生物叢解析 | 報告書 |
安井博宣、山崎淳平、木之下怜平 | 臨床検体から樹立したイヌ腫瘍細胞におけるストレス誘導性上皮間葉転換のエピジェネティック解析 | 報告書 |
2022/2023年度
今内覚、片桐成二、柳川洋次郎 | レトロウイルス性発癌の発生メカニズムの探究と早期診断法の開発 | 報告書 |
青島圭佑、金尚昊、横山望、永田矩之、木之下怜平 | 動物腫瘍のプレシジョンメディシン確立へ向けた研究基盤構築 | |
池中良徳、笹岡一慶、一瀬貴大、丹場舞 |
神経伝達物質および脂質メディエーターを中心とするメタボローム解析による神経疾患診断に向けたバイオマーカーの探索 |
報告書 |
佐藤豊孝、笹岡一慶、横山望、堀内基広 | 小動物臨床における細菌性尿路感染症の迅速診断法の確立 | 報告書 |
岡川朋弘、栁川洋二郎 | ウマの免疫チェックポイント分子を標的とした抗体医薬品の開発 |
報告書 |
永田矩之、池中良徳 | 犬副腎疾患に対する尿中ステロイドプロファイル分析の応用 | 報告書 |
江口遼太、笹岡一慶 | 中枢神経疾患における脳脊髄液・血液中プリンの解析 | 報告書 |
永田矩之、池中良徳 | LC-MS/MSを用いた犬尿中ステロイドホルモン分析法の確立と診断への応用 | 報告書 |
前川直也、笹岡一慶、横山望、永田矩之 | ネコ慢性感染症および腫瘍における免疫抑制機序の解明 | 報告書 |
横山望、佐藤豊孝、永田矩之 | 大腸菌バイオセンシングを応用した犬の消化器型リンパ腫の診断法の開発 | 報告書 |
2024年度
今内覚 | 抗生剤に頼らないプロバイオティクスによる動物の疾病予防効果の検証 | |
前川直也 | 猫伝染性腹膜炎の抗ウイルス薬治療における病態マーカーと新規治療標的分子の探索 |
|
市居修 |
ネコの尿管閉塞を知らせる分子群の探索 |
|
安井博宣 | 低温プラズマ活性化溶液の膀胱内注入療法の可能性 | |
栁川洋二郎 | 発情周期中におけるゾウの血中gestagen濃度動態情報の基盤形成 |
|
菅原 芽伊 | DNAメチル化情報を用いた輸血ドナー犬の献血最適期の検討 | |
青島 圭佑 | イヌ・ネコの患者由来腫瘍モデルの作製と応用 | |
田村 純 | 小型齧歯類における混合注射鎮静法の開発 | |
森松 正美 | ボールパイソンにおけるニドウイルス感染症診断法の開発 |