北海道大学大学院獣医学研究院・獣医学部

微生物学教室

Laboratory of Microbiology, Faculty/School of Veterinary Medicine, Hokkaido University.

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インフルエンザウイルスとは

 インフルエンザウイルスはオルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)に属する分節状のマイナス鎖RNAを遺伝子とするウイルスです。インフルエンザAウイルスは、8分節の遺伝子に10または11のタンパク質をコードしています。ウイルス粒子の表面にはヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在し、それぞれH1-H16とN1-N9の亜型に分類されています。このHAとNAは、ウイルスの感染に重要な役割を担います。

インフルエンザウイルスの宿主域

 インフルエンザAウイルスはヒトを含む哺乳動物と鳥類に広く分布します。なかでも水禽、特にカモからはすべてのHAとNA亜型のウイルスが分類されています。家禽、家畜とヒトのインフルエンザAウイルスの遺伝子はすべてカモのウイルスに由来することが明らかとなりました。インフルエンザウイルスはまた、豚の慢性呼吸器病の誘因でもあります。アザラシ、クジラやミンクにも鳥のインフルエンザウイルスが感染します。インフルエンザは地球上に最も広く分布する人獣共通感染症です。

新型インフルエンザウイルスと高病原性鳥インフルエンザウイルスの出現の歴史

 有史以来、人々はインフルエンザによって苦しめられてきました。20世紀以降、ヒトは3回の世界流行を経験しました。1918年のスペインかぜ、1957年のアジアかぜおよび1968年の香港かぜです。ヒトのインフルエンザがウイルスによるものとわかったのは、1933年ですが、血清学的な調査からスペインかぜ以前にも異なる亜型が流行していたことが明らかとなっています。

 一方、高病原性鳥インフルエンザは、幾度となく家禽の間に発生しては、宿主を死に至らしめ、ウイルスは消失するということを繰り返してきました。ヒトのインフルエンザと高病原性鳥インフルエンザの原因ウイルスがインフルエンザAウイルスによって引き起こされるものだと明らかになったのは、1954年のことです。

 過去の歴史から、ヒトの新型ウイルスはすべての亜型に可能性があると考えられています。

 2009年より、抗原性の異なるH1N1インフルエンザウイルスががヒトで流行し始めました。2013年中国でH7N9ウイルスの感染例が多数報告され、ワクチンなどの準備が進められています。

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